お客様?人生の後輩?
3月半ば、これから大学生になる旅人さんが2泊3日でお見えになりました。2泊目の夜10時、まだ帰って来ないと思っていると携帯が鳴る。
疲れた声で「駅まで迎えに来てほしい」とのこと。迎えに行くかどうか迷ったがまあお客様のいうことだし、まだまだ寒いということもあり、駅まで迎えに行くことに・・・。
疲れているし、万一のことを考えると車に人を乗せることは出来れば避けたいし、そもそも公式のサービスじゃないし、客商売をやっている人はワガママをいったらなんでも聞いてくれると思われるのも癪だし、と思いつつ旅人さんを宿に連れ帰ると、「ありがとう」の一言もない・・・。むしろ不貞腐れているようにも見える。
ここで普通であれば、「ちょっとそこに正座で座れ!」と説教モードに入るのだが、これでも一応は経営者。しかも予約サイトの(同業者の間では悪名が高い)B社を通じての予約。B社のお客様は、口コミを書くことが大好き。ここで頭の中で葛藤が
1)「いやー、〇〇さんもお疲れですからね。全然大丈夫ですよ。」
2)「ちょっと君、『ありがとう』位言いなさい!」
と2つのセンテンスが頭に浮かぶ。
1)でも経営的に見たら必ずしも間違った回答ではない。これでサービスがよい宿という口コミがでたら、それだけ宿が評価されていることになる。誰かが言っていたけど「ネット時代『小さな親切、大きな下心』が大切」。だれしも情報を発信する時代、ホンの僅かな親切でネットの評価は上がるらしい。
まして一度B社の口コミには何回か痛い目にあっている。同世代の旅人さんに「観光地以外の見どころを教えろ」(直接話法)という問いに対して「自分で見つけてください」
「売上いくら?」(直接話法)という問いにたいして「税務所の人だったら教えてやる」
「固定資産税いくら?」(直接話法)という問いに対して「家賃いくら払っているの?」
と回答したら「ため口でムッとした」と目一杯悪口を書かれた経験がある。
閑話休題
でヘラヘラするのも問題だ。ましてこんな若者を放置しておくと、コンビニの店員さんにエラそうにしたり、ネットで文句を言えばなんでも我儘が通じると思い込んだり、サービス業に従事している人間は要求さえすればなんでも話しを聞いてくれると勘違いしたりする人が確実に一人増えることになる。
ていうか私が怒りで納得いかない。
「〇〇さん、なにか俺にいわなあかんことはないか」
「・・・(無言)・・・」
「こういう時は『ありがとう』と一言いっておくもの。それがたとえ心の底から思ってなくても」
「・・・(無言)・・・」
「高校卒業したての男の子で、俺みたいな40半ばのオッサンとしゃべるのも大変だと思うが、一言『ありがとう』といわなあかんで」
「・・・(無言)・・・」
「もう俺は言いたいことは言ったし、遅い時間なのでシャワーを浴びて、休みなさい」
彼は、無言でドミトリーへ。
翌朝、今時の言葉でいう「微妙な感じ」でチェックアウト。私も彼も何かバツが悪いのだ。私は口コミを気にしつつ館内の掃除へ・・・。
翌朝、旅人さんノートを見ると
「初めての一人旅、ゲストハウスというのもなんだかよく知らず『何とかなる』という気持ちで予約、結果『何とかなりました』でもそれは自分のおかげでなくwelcomeにむかえてくれた無我のおかげだと思いました。また機会があれば利用したいですし、その時は『ありがとう』を忘れないようにしたいです。」
と初めてこのノートを設置してよかったと思えるような書き込みが発見。